こんにちは。LANTERN NOTE、運営者の「sou」です。
夏が近づくと、キャンプでも涼しいサンダルで過ごしたくなりますよね。開放的で気持ちいい反面、「キャンプでサンダルは危ないのかな?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。実際、ゴツゴツした岩場での怪我や、ブヨなどの虫刺され、子供の川遊びでの脱げやすさなど、サンダル特有のリスクは確かに存在します。私自身も最初は失敗しましたが、選び方とシーンを間違えなければ、快適に過ごすことができます。この記事では、火傷や怪我などのトラブルを回避しつつ、安全にサンダルを楽しむための具体的なマナーや対策についてご紹介します。
- キャンプでサンダルを履く際に潜む具体的な4つの危険性
- 失敗しないキャンプ用サンダルの選び方と必須機能
- サンダルでも安全に過ごせる場面と絶対にNGな場面の境界線
- 怪我や虫刺されを防ぐために実践すべき具体的な安全対策
キャンプでサンダルが「危ない」と言われる4つの理由

「涼しいから」という理由だけでいつものサンダルを選ぶと、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。まずは、なぜキャンプ場でサンダルが危険視されるのか、その具体的なリスクを知っておきましょう。
1. 設営・撤収時の怪我のリスク(ペグ・石・落下物)
キャンプ場に到着してまず行うのが、テントやタープの設営です。実はこのタイミングこそ、キャンプ中で最も足元の怪我が発生しやすい危険な時間帯なのです。多くのキャンプ場は、きれいに整備された芝生ばかりではありません。地面には鋭利な石が半分埋まっていたり、硬い木の根が複雑に張っていたりします。つま先が完全に露出した一般的なサンダルで歩き回ると、こうした障害物に気づかずにつまずき、爪を剥がしてしまったり、指を強く打ち付けて骨折に近いダメージを負ったりする可能性が非常に高いです。
また、設営・撤収作業では、ペグハンマーや重いスチールペグ、クーラーボックスなどの重量物を扱います。もしペグを地面に打ち込む際、手元が狂ってハンマーが足の指を直撃したらどうなるでしょうか。あるいは、重さが10kg以上あるギアを運搬中に、誤って足の上に落としてしまったら。サンダルでは足を守るものが何もなく、取り返しのつかない大怪我に直結します。さらに、足元が不安定な砂利や傾斜地で力を込めてロープを張る際、グリップ力の弱いサンダルでは踏ん張りが効かず、転倒して顔や腕を負傷するリスクもあります。設営と撤収は「工事現場」と同じくらいの意識を持つべき場面なのです。
足の指が露出していると、少し石にぶつけただけでも出血や骨折に繋がることがあります。特に夜間は足元が見えにくいため、リスクがさらに高まります。
2. 焚き火や調理中の火傷(火の粉・油)
キャンプの夜の醍醐味といえば焚き火や豪快なキャンプ料理ですが、ここにもサンダルならではの深刻な落とし穴があります。焚き火を楽しんでいる際、薪に含まれる水分が膨張して突然「パチッ」と爆ぜることがあります。この時、高温の火の粉や炭のかけらが足元に飛んでくることは日常茶飯事です。もし素足のサンダルを履いていれば、火の粉は直接皮膚の上に落ち、瞬時に火傷を負ってしまいます。靴下を履いていれば防げた程度の火の粉でも、素肌では大きなダメージになりかねません。
また、調理中も危険がいっぱいです。ステーキを焼く際の油跳ねや、熱湯が入ったケトルを誤って傾けてしまった際、サンダルでは熱湯や油が隙間から入り込み、足全体を焼いてしまう恐れがあります。さらに注意したいのが、サンダル自体の素材です。安価なビーチサンダルやEVA素材(合成樹脂)のサンダルは非常に熱に弱く、焚き火台の近くに足を置いているだけで、輻射熱によってソールやアッパーが溶け出してしまうことがあります。「気がついたらサンダルが変形して足から外れなくなった」「溶けたゴムが皮膚に張り付いて大火傷をした」という怖い事例も実際に報告されています。火を扱うエリアでは、熱への耐性がない履物は避けるのが鉄則です。
3. 虫刺されの危険性(ブヨ・マダニ・蜂)
自然豊かなキャンプ場は、人間だけでなく多くの虫たちの生息地でもあります。サンダルで肌を露出している状態は、吸血昆虫に対して「どうぞ刺してください」と無防備に差し出しているようなものです。特にキャンプ場、とりわけ水辺の近くで最も警戒すべきなのが「ブヨ(ブユ)」です。ブヨは足首やすねなどの露出部分を好んで狙い、皮膚を噛みちぎって吸血します。蚊とは比べ物にならないほどの激しい痒みと腫れが数週間も続き、場合によっては発熱を伴うこともあり、せっかくの楽しいキャンプの思い出が台無しになってしまいます。
さらに恐ろしいのが「マダニ」の存在です。マダニは笹や草むらの先端に潜んでおり、通りがかった動物や人間に取り付いて吸血します。マダニは「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」などの重篤な感染症を媒介することがあり、最悪の場合は命に関わることもあります。サンダルで草むらに立ち入ることは、これらのリスクを自ら招き入れていると言っても過言ではありません。虫除けスプレーだけでは汗で流れてしまうこともあるため、物理的に肌を覆って防御することが最も確実な対策となります。
虫刺されのリスクや具体的な対策については、こちらの記事でも詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。
4. 予期せぬ寒暖差による冷え
「夏キャンプだからサンダルだけで十分だろう」と高を括っていると、痛い目を見ることがあります。キャンプ場の多くは標高の高い高原や山間部に位置しており、平地とは気候が全く異なります。日中は日差しが強くサンダルで快適に過ごせても、日が沈んだ途端に気温が急降下し、10度近くまで冷え込むことも珍しくありません。足元は心臓から遠く、最も冷えを感じやすい部位です。地面からの冷気(底冷え)がサンダルの薄いソールを貫通して伝わってくるため、足先から全身が冷え切り、体調を崩してしまう原因になります。
特に春先や秋口のキャンプでは、サンダル一本で過ごすのは無謀です。足が冷えると血行が悪くなり、リラックスして眠ることすらままならなくなります。焚き火にあたっていても、足の甲や裏側は冷たいままという経験をしたことがある方も多いはずです。また、朝露で濡れた草の上をサンダルで歩くと、足が濡れてさらに体温を奪われます。快適に過ごすためには、気温の変化に対応できるよう、必ず靴下や履き替え用のシューズを準備しておく予測力が求められます。
安全に履くためのキャンプ用サンダルの選び方

リスクがあるとはいえ、リラックスタイムにはサンダルを履きたいですよね。ここでは、キャンプのリスクを最小限に抑えるための「正しいサンダルの選び方」を3つのポイントで解説します。
つま先を守る「トゥガード」は必須条件
キャンプ用サンダルを選ぶ際、私が最も重要視してほしいのが「トゥガード(つま先の保護)」機能がついているかどうかです。一般的なサンダルはつま先が開放されていますが、アウトドアブランドから発売されているモデルには、つま先部分が厚いゴムや頑丈な素材でしっかりと覆われているものがあります。これを選んでおくだけで、石につまずいた時の「爪剥がれ」や、誤って物を落とした時の衝撃を劇的に軽減することができます。
機能的には「通気性の良いスニーカー」に近い感覚で履くことができ、安全性と快適性のバランスが非常に優れています。代表的なものとしては、KEEN(キーン)の「NEWPORT」シリーズなどが有名ですが、他ブランドでも同様の構造を持つモデルが増えています。見た目がおしゃれなだけでなく、実用面で自分の体を守ってくれるギアとして、つま先ありのタイプを強くおすすめします。特に子供用のサンダルを選ぶ際は、活発に動き回ることを考慮して、このトゥガード機能は絶対に外せない条件と言えるでしょう。
脱げにくさを左右する「ヒールストラップ」
ビーチサンダルや、いわゆる「突っかけ」タイプのような、かかとが固定されていないサンダルは、キャンプ場では極力避けるべきです。かかとが浮いてしまうサンダルは、歩くたびにパカパカとして足元が不安定になりやすく、とっさの動きに対応できません。キャンプ場の地面は平らではなく、斜面やぬかるみ、砂利道などが混在しています。そうした場所でかかとが固定されていないと、サンダルの中で足が滑ったり、泥に足を取られてサンダルだけが脱げてしまったりするトラブルが頻発します。
必ず「ヒールストラップ(かかとを固定するベルト)」があり、足首をしっかりとホールドできるものを選びましょう。足とサンダルが一体化することで、まるで靴のように走ることも可能になり、転倒のリスクも大幅に下がります。また、サイズ調整ができるベルクロタイプのストラップであれば、厚手の靴下を履いた時と素足の時で微調整が可能になり、よりフィット感を高めることができます。
滑りやすい足場に対応する「グリップ力」
街履き用のファッションサンダルと、アウトドア用サンダルの決定的な違いは「ソール(靴底)」にあります。街中の舗装路を歩くために作られたサンダルは、ソールが平らで溝が浅いものが多く、キャンプ場の砂利道、濡れた芝生、苔の生えた岩場などでは驚くほどよく滑ります。転倒して手をついた場所に鋭利な石や枝があれば、大怪我につながりかねません。
キャンプで使用するなら、登山靴やスニーカーのように靴底がゴツゴツしており、深い溝が刻まれている「グリップ力」の高いモデルを選んでください。Vibram(ビブラム)ソールなどを採用しているモデルなら、雨上がりの泥道や川辺の岩場でもしっかりと地面を捉えてくれます。また、ソールにある程度の厚みと硬さがあることも重要です。ソールが薄すぎると、砂利道の凸凹がダイレクトに足裏に伝わり、長時間歩いていると足裏が痛くなって疲労が蓄積してしまいます。疲れにくく安全に歩くためにも、足元のスペックにはこだわりましょう。
【参考】一般的なサンダルとアウトドアサンダルの比較
| 機能・特徴 | 一般的なサンダル | アウトドアサンダル |
|---|---|---|
| つま先保護 | なし(露出) | あり(トゥガード)推奨 |
| かかと固定 | なし(不安定) | あり(ストラップ) |
| ソール(靴底) | 平らで滑りやすい | 溝が深くグリップ高 |
| 主な用途 | 街歩き、海水浴 | キャンプ、ハイキング |
川遊びも想定するなら、水に濡れてもすぐに乾く速乾素材や、水はけの良い構造になった「水陸両用サンダル」がおすすめです。そのまま水に入れて、上がった後も快適に過ごせます。
サンダルを履いても良い場面とNGな場面
どれだけ高機能なサンダルでも、キャンプ中の全ての時間をそれで過ごすのはおすすめしません。安全に楽しむためには、靴とサンダルの「使い分け」がカギになります。
【OK】設営後のリラックスタイムや水辺
テントの設営が終わり、ペグダウンも完璧、重い荷物の運搬も完了した。そんな後の「リラックスタイム」こそ、サンダルが最も輝く瞬間です。締め付けのある登山靴やスニーカーから足を解放し、風通しの良いサンダルに履き替えることで、足の蒸れや疲れを癒やすことができます。チェアに座ってコーヒーを飲んだり、サイト周辺を軽く散歩したりする程度であれば、サンダルでも安全上の問題は少ないでしょう。
また、管理された安全な水辺で子供と一緒に遊ぶ際も、脱げにくい構造のアウトドアサンダルなら大活躍します。ただし、川底はヌルヌルしていたり、ガラス片や鋭利な石が沈んでいたりして危険です。裸足やビーチサンダルではなく、必ずつま先とかかとが固定できるタイプを選ぶことが重要です。また、サンダルだからといって油断せず、流れの速さや深さには十分注意してください。川遊びの安全性については、以下の記事も非常に参考になります。
【NG】設営・撤収作業やブッシュクラフト
繰り返しになりますが、テントの設営や撤収作業中は、ペグやハンマー、重いギアを扱うため、サンダルは絶対NGです。「暑いから」「面倒だから」という理由でサンダルのまま作業をして、指を怪我するキャンパーは後を絶ちません。作業中は必ずつま先とかかとが守られ、踏ん張りの効く運動靴やブーツを履いて作業しましょう。これは自分自身の安全だけでなく、一緒に作業する仲間への配慮でもあります。
また、薪割りやナイフを使って木を削るブッシュクラフトの際も同様です。手元が滑って刃物や重い薪を足に落とす可能性はゼロではありません。さらに、サイトを離れて草むらや藪の中に入っていくような場面でもサンダルは避けてください。棘のある植物で肌を傷つけたり、マムシなどの有毒生物に遭遇したりするリスクを考えると、肌の露出は命取りになりかねません。「作業と移動は靴、休憩はサンダル」というメリハリをつけることが、ベテランキャンパーへの第一歩です。
これだけは守りたい!サンダル着用の安全対策

最後に、キャンプでサンダルを履くなら絶対に実践してほしい、簡単な安全対策をご紹介します。これをするだけで、トラブルの確率はずっと下がります。
靴下の着用で肌の露出を減らす
「サンダルに靴下?」とファッション的に違和感を持つ方もいるかもしれませんが、アウトドアの現場ではこれが非常に合理的かつ有効なテクニックとして定着しています。厚手のアウトドア用靴下を履くことで、肌の露出をなくし、以下のような多くのメリットを享受できるからです。
- 虫刺され防止:ブヨや蚊などの吸血昆虫は、靴下の厚みがあると皮膚まで針が届きにくくなります。物理的なバリアとして非常に優秀です。
- 火傷防止:焚き火から飛んでくる小さな火の粉程度なら、靴下がガードしてくれます。特にウール素材は燃え広がりにくいためおすすめです。
- 冷え対策:夏でも夜間の冷え込みは侮れません。靴下一枚あるだけで体感温度は大きく変わります。
- 怪我・靴擦れ防止:小枝や草による切り傷を防ぎ、サンダルのストラップによる靴擦れも軽減してくれます。
最近はサンダルとのコーディネートを楽しめる、カラフルでおしゃれなアウトドアソックスも数多く販売されています。機能性の高いメリノウール製の靴下などを選べば、蒸れにくく快適です。素足で履くよりも安全性が格段に高まるので、ぜひ「サンダル×靴下」のスタイルを取り入れてみてください。
夜間や藪の中では必ずシューズに履き替える
日が落ちてあたりが暗くなると、地面の凹凸や障害物はほとんど見えなくなります。トイレや炊事場に行く際、ヘッドライトで照らしていても、足元の木の根や張り綱(ガイロープ)に気づかずにつまずいてしまうことはよくあります。夜間の転倒は、視界が悪い分、受け身が取りづらく大きな怪我につながりやすいのです。
また、夜行性の野生動物や虫の活動が活発になる時間帯でもあります。ムカデや蛇などが足元を這っていても、サンダルでは防御できません。夜間や、サイトから離れて草木が生い茂る場所へ行く際は、「ちょっとそこまでだから」と油断せず、面倒でも必ずシューズに履き替える癖をつけましょう。お酒が入ってリラックスしている時こそ、注意力が散漫になりがちです。自分の足を守れるのは、自分自身の判断だけです。安全第一で、楽しいキャンプの夜を過ごしてくださいね。

